『ポリゴン』って何？ 食えんの？ そんな2Ｄ全盛期だった古き良き格ゲーブーム到来の1991年。ヤンキーとオタクとリーマンが蔓延る場末のゲーセンに、彼女は凛と座していた――。
ハイスコアガール ＣＯＮＴＩＮＵＥ 1巻 ハイスコアガールＣＯＮＴＩＮＵＥ (デジタル版ビッグガンガンコミックスSUPER) Kindle版
押切蓮介 (著)
裏表紙のあらすじから抜粋。そう、時は1991年。人より秀でているのはゲームだけの小学六年生の矢口ハルオがゲーセンで無口なお嬢様大野晶と出会う所から始まるラブコメ漫画。
大野はなんと対戦ゲーム「ストリートファイターⅡ」で28連勝中。むさくるしい臭いの立ち込めるゲーセンにあって男たちをなぎ倒す美少女(こちらも小6)の登場に人垣ができる中、ハルオは無残に7連敗を喫し大型連勝記録に貢献してしまいます。
ハルオは自分をボコボコにした相手が大野だと知ると激昂。成績優秀で人望もある彼女と取り柄がゲームだけの己を比較し、聖域を荒らされたと怒りに打ち震え、禁忌の糞戦法「待ちガイル」に手を出します。ひ、卑劣な…。
大野とハルオの戦いはゲームの中でも外でもヒートアップし、しまいには二人まとめて叩き出されてしまいます。お互いに最悪な印象から始まった二人の関係やいかに。
というふうに始まるボーイミーツガール。ゲームを通じて出会い、ゲームを介して仲良くなっていく二人を思い思いの感情で見守るのが王道な楽しみ方となるでしょう。作中では時間の経過が描写され、進学などの環境が大きく変わるイベントやキャラクターの成長もあり飽きさせないストーリーを魅せてくれます。萌え死にたい方、必見です。
ここで、改めて二人を紹介します。
矢口ハルオ
勉強も運動もダメで絵心もないが、ゲームには自信があり、知識も豊富で豪指のハルオと自称している。ゲームセンターだけが自分を証明できる場所と捉えており、勝つためなら非道な策も厭わないなど狡さ、ふてぶてしさを併せ持つ。
しかし心根は優しく、高い洞察力と相手を慮る心を持った気の利いた男でもある。目標のためなら努力もでき、意外とナイスガイ。読者からの好感度も高そうだが、ラブコメにおいてはそこかなり重要よな。
お金はあんまりない。
大野晶
容姿端麗で成績優秀なお嬢様。ハルオと同じクラスで、クラスメイトから慕われている。裕福な家庭の子で、習い事もたくさんしているし爺やもいる。
ゲームの腕前はハルオも一目置くほどで天才的だが家の教育方針でゲームを買ってもらえず、知識には乏しい。
そして全くの無口である。「んふー」や「もがー」などの擬態語なのか擬声語なのかはたまたそれ以外なのか判別の難しいものを除けばセリフを発することはほとんどなく、主にボディランゲージや暴力でもって会話する。これについて作中では特別に言及されることはない。
感情が非常に顔に出やすく、とてもかわいい。怖いものが苦手。
日高小春
ハルオと同じ中学に通う女の子。小学校は別だったようでその時点では面識はない。
趣味がなく勉強をしてばかりの窮屈な生活を送っていたが、ゲームに熱中し自由奔放なハルオに出会い惹かれていく。
ゲームの経験がなく、自分でプレイするより見てる方が楽しいタイプ。初心者なので腕前はお粗末だが、まぐれで複雑なコマンドを入力しないと発動しない必殺技を繰り出すなど天性の持ち主であるとハルオに評されている。
普通の家に生まれた普通の子といった印象だが、恋には一直線。猪突猛進！猪突猛進！
いや三人目誰～！？
突如として参上仕りくさった第二のヒロイン日高小春(かわいい)の存在が三角関係を発生させ、ストーリーに緊張感を与えます。大野が漫画らしいキャラクターなのに対して、日高は現実にもいそうな子です。
大野← →日高
かわいい。
表紙の画像を貼ったついでに、絵についても触れたいと思います。正直なところ上手い・丁寧という感想ではありませんが、そんなものを補って余りある魅力のある絵柄であると感じます。
だってほら、かわいい。
表情の描写が非常に味があるのですが、中でも大野の表情がとても良い。セリフがない分、表情から感情を読むわけですが、とても伝わってきます。かわいい。
セリフ回しやテンションにベストマッチした素晴らしい絵だと思います。下手でも雑でもありませんしね。
そして「ハイスコアガール」の大きな特徴といえば実際のゲームやそのネタがふんだんに登場することです。当時を知るゲーマーにとっては懐かしすぎて笑ってしまいそうですね。筆者は全く世代ではありませんが、ハルオの解説が的確でとても楽しめました。
最後に、「ハイスコアガール」最大の魅力は絵柄からは想像できないドラマチックなストーリーだと感じます。先が気になって読む手が止まらんぜよ。
ニッチな題材とは裏腹に老若男女が楽しめる傑作ラブコメ漫画だと思います。全10巻。おすすめ。1巻がキリの良いところで綺麗にまとまっているので迷っている方は是非。
余談ですが、表紙がリニューアルされていたんですね。さらに1～５巻まではCONTINUEと新たにサブタイトルが加わったようです。つまり、「ハイスコアガールCONTINUE」が1～5巻で、その続きが「ハイスコアガール」6～10巻となっています。わかりにくい。
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