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B級グルメNo.1漫画!

『チェンソーマン』が面白い

 風格の漂う漫画ってありますよね。SF・ファンタジー巨編や不朽の名作などがそういったものを纏うのでしょうか。これらを料理に例えるとしたら、ミシュランの星に輝くようなお店で出てくる高級なお肉といったところでしょうか。映画ならば、誰もが涙する超大作かな。

 対してぇぇえええ!! チェンソーマンはジャンクフードォォォオオオオオ!!! B級洋画ぁぁぁああああ!!!  fooooOOOO!!!!

 チェンソーマンは、1997年の日本を舞台にした作品です。人々の恐怖の対象となるほどに強くなる「悪魔」と、それを狩る職業「デビルハンター」があたり前に存在するという設定ですね。スラムで育った貧しい青年デンジは借金を返すため相棒のポチタ(チェンソーの悪魔)と共にデビルハンターをしています。デンジが、謎多き女性マキマと出会い、物語が始まります。

↑マキマ

 さて、チェンソーマンという漫画の印象を一言でいうなら「ゴキゲン」ですね。ほとんど死語らしく、筆者もたまたま知った用法なのですが、「ノリが良い」「最高」といった意味合いで、曲の紹介で「ゴキゲンなサウンド」という風に使うらしいです。志村けんさんのレコード評で知りました。

 そんなゴキゲンな漫画「チェンソーマン」の魅力を3つに分けて紹介します!

①クレイジーな主人公 デンジ

 ↑の男が主人公のデンジです。下品で粗暴な男で、義務教育を受けておらず、読める漢字は金玉のみ。行動原理はおっぱい。そんな彼のぶっとんだ言動がチェンソーマンをチェンソーマンたらしめています。

 デンジの行動や人々との出会い、時には成長を見守るのがおおまかなストーリーなのですが、彼の言動は支離滅裂でかなり笑えます。テンションも高いので痛快ですらある。スラム育ち故の価値観と思考プロセスが予測不能すぎるんですよね。かと思えばあまりにも単純だったりして、その落差も笑う。

 しかし、だからこそ「自分の頭が凝り固まっているな」と反省させられるような発想を繰り出してくるので、惹きつけられてしまいます。いつのまにか、デンジは次にどんなことを言うだろう、何をしでかすんだろうと期待してしまうのです。それでいて心根は優しく、スカしてないのが憎めないところ。馬鹿だけど素直でイイやつって感じですね。

②スタイリッシュなバトルシーン

 馬鹿馬鹿しい一辺倒の作品なのかと思わせて、バトルシーンはめちゃめちゃかっこよくて迫力があります。荒々しくも精緻な線と大きなコマ割り、ダイナミックかつ印象的な構図で非常にレベルが高いです。キャラクターや悪魔のデザインも非常にクールでスタイリッシュ。戦いは刹那に終わり、ダレる隙もありません。このテンポの良さと派手さが本作の痛快っぷりに繋がっていると思います。

③映画のような演出

 チェンソーマンはB級映画と比喩しましたが、演出力はS級映画です。

 間を取るコマってあるじゃないですか。背景や表情のみを映したコマのことを言いたいのですが、その使い方が抜群にうまいです。

 没入感を深め、緊張感を煽り、展開の緩急を演出しています。

 このようなコマがあると、当然1ページ当たりのセリフの量が減るのでスラスラ読めます。テンポよく読めると無意識に集中が深まっていき、読後感や満足感が段違いです。

 さらに、漫画にテンポがあると、脳内再生しませんか? それによって間を取るコマが並ぶと静寂の訪れを感じます。映画で急にBGMが消えると、緊張しますよね。それと同じ効果を与えてきます。「無音が聴こえる」とでも言えばいいのでしょうか。なんか「理解ってます」感が出て恥ずかしいのですが? とにかく、その緊張が自然と演出になってるんですよね。次に何か起こるぞとの予告なのです。

 このように演出が非常に巧みで、ストーリーに一区切りがつくまで読めば、漫画を読んだはずなのに映画を見終わったかのような不思議な感覚があります。これはちょっと珍しくないですか? 凄くないですか? B級界の覇者たる所以ですね。(※筆者調べ)

 ところで、チェンソーマンには「映画」が随所に登場します。見に行くシーンだったり、カメラを意識したような構図だったり、オマージュだったり。(オマージュに関して、映画への造詣がカエルの産卵に適する池の様に浅い筆者が感じたのは、ゾンビ映画、スプラッタ映画、サメ映画です。)

 作者の藤本タツキ氏は映画好きの様で、作中にも見事に昇華されていると感じました。

 いかがでしたか? ハチャメチャなデンジ、外連味あるバトルシーン、映画的な演出手法…下品で野蛮で爽快! まさしくチェンソーのようなゴキゲン漫画「チェンソーマン」の魅力は伝わりましたでしょうか。それと言えば、冒頭の赤文字は本作の「勢い」を伝えたかったのです。決して、唐突に、突然に、ひとりでにスベったわけではありません。よろしくお願い致します。

 さておき、チープでシュールでクールでカオスでグロテスクで…とてもおすすめです!

 完結してから読む流派の方は第1部が11巻で完結してますので、そこを目安にされるといいかもしれません。では。

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