異界からの侵略者を相手に「トリガー」という技術を駆使し、主人公たちが戦うSFバトル漫画です。舞台は現代をベースにしながらも、侵略者と未知の超技術「トリガー」の存在により未来感のアクセントが加わっています。例えば、街の中に超巨大な基地があったり、仮想の空間が登場したりします。
さて、「ワールドトリガー」の魅力を2つに絞ってお伝えします!
①圧倒的な情報量
まず、キャラがたくさん登場します。軽く100名以上ですね。正直なところ一読しただけでは覚えきることは困難でしょう。それほどわんさかキャラクターが登場し、しかもそれぞれが独立して思考し、ストーリに影響を与えます。群像劇的な要素もある作品で、実際、主人公は四人もいます。
恐ろしいのは、登場キャラクターほぼ全員に家族構成や交友関係が設定されていることです。AはBと友達で、Cに憧れてて、Dに昔アドバイスされたことがあるから今こういう考え方をしていて、Eとは親戚で、Fとは不仲で、あっ、Dの妹はGとクラスメイトね。みたいな感じですよ。どうかしている。
さらにキャラクターだけでなく「トリガー」や侵略者の方も情報量びっしりで、設定の凝った作品をお好みの方やキャラクター同士の関係性に萌える方には垂涎の一作です。既に買いです。涎掛けもセットで買われると良いでしょう。
しかし、真に恐ろしいのはこれだけ情報量が多いにも関わらず、まったくそう感じさせないところです。難解で意味不明な単語がページにびっしり並んで読む気が失せるということがまるでありません。情報の出し方やその順番、語彙の選び方やふきだしの位置、コマ割りまで計算されており、ストレスフリーで読むことができます。
「一読しただけではキャラを覚えきれるわけありまへんわ」と書きましたが、実は逆で、覚えきれないキャラはあまり重要度が高くないだけなのです。「こんな奴いたっけ?」なキャラもスポットが当たるタイミングで説明が入るので、読み直したとき、「お前こんな序盤からおったんか…」となること必至です。
とにかく、超濃厚なのに超読みやすいのです。
②ストーリーの異質さ
俺YOEEEEEEEEEEEE!
主人公が弱い、あまりにも。「主人公は4人もおりまっせ」と書きましたが、これは公式設定で、ダブル主人公なのが実際のところ。
さらに言えば、より焦点が当たるのは↑の画像右の眼鏡の彼「三雲修」です。つまり主人公格四天王の中で最強というわけですね。しかし、実力はぶっちぎりの最弱。モブキャラにも劣ります。その才能の無さは丁寧に描写され、少年漫画らしい覚醒もなく、哀憫の念さえ覚えます。かくも弱い少年漫画主人公は稀有と言わざるを得ません。
その分、他の三人の主人公が代わりとばかりに活躍しますがその対比もまた残酷です。しかし、知恵と工夫で乗り越えていくのが見所であり、作品のひとつのテーマなのではないでしょうか。
異質なのはそれだけではありません。なんと「ワールドトリガー」はバトル漫画のお約束を破っています。「1vs1」「味方キャラは欠損・死亡しない」というよくあるパターンが当てはまりません。
つまり、ワールドトリガーは「多vs多」の集団戦で、敵も味方も欠損・死亡します。登場キャラクターが膨大なのはこういう理由なんですね。見事なのは、キャラクター達の思考が交錯し、地形の利やキャラの離脱で戦況が目まぐるしく変わるため展開が全く予想できないことです。意外な展開や決着に何度驚かされたかわかりません。このようにバトル単体でも面白いのに、ドラマが嚙み合うとなるとさらに熱いですね…!
他にも、ビジネスマンもニッコリな高度な情報戦が描写され、そこでも驚かされるのですが、ネタバレ不可避なので割愛します(泣)
あ、ネタバレなのですが、キャラクターの欠損や死亡は「トリガー」のテクノロジーで仮のものとして回避できます。戦場からは退場になりますけどね。仮面ライダーに変身している間の怪我は変身を解くと治るという感じです。(仮面ライダー見たことないですが)。誤解を招き、申し訳ありません。
いかがでしたか? 「ワールドトリガー」すごく面白いですよ! 中古での購入が難しかったり(ファンが手放さないため)、連載が中断しても再開後に売り上げが伸びる(通常はファンの熱が冷め減少する)など逸話の多い作品です。内容もファンも濃ゆいとかラーメンみたいですね。
しかし、欠点として序盤がつまらないという意見もあるんですよね。(筆者は絵柄やゆるいセリフ回し・キャラクターが好きですぐに気に入りましたが)。これはキャラクターやトリガー、侵略者などの設定の開示が序盤の内は限定的だからだと思われます。公式も遅効性SFなんて自虐とも取れるコピーをつけるくらいです。
とりあえず、四巻まで読んでみてほしい。
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