京太郎← →杏奈
「僕の心のヤバイやつ」はぼっちの中学生市川京太郎と同じクラスの人気者山田杏奈の「両片想い」を描いたピュアピュアなラブコメ漫画。
京太郎は賢いが背の低い鬼太郎ヘアー(ややこしい)の男子中学生。中二病を患っており、痛カワイイ言動が持ち味。孤高の存在でもある。
山田杏奈はスタイル抜群だが抜けたところのある美少女。明るく元気な性格で、モデルをしているともなれば当然の帰結としてスクールカーストの頂点に君臨している。食い意地が張っている。
綺麗に凸凹な2人ですが、ぼっち故に図書室で休み時間を過ごす京太郎と人目を盗んでお菓子を食べるため図書室に通う杏奈には共有する空間があったのでした。そのきっかけで仲良くなっていく2人をにやにやしながら見守るのが由緒正しい読み方でしょう。
ところで、「僕ヤバ」はTwitterでバズり散らかして名を馳せた作品です。あやかりたいものです。その一端となった投稿をご紹介します。
甘ーい!
もっと見たい方はこちらの記事へどうぞ。
杏奈との距離を縮めながら、京太郎は徐々に周囲に受け入れられていきます。陰の世界に生きる者にとってはあまりにも理想の展開と言わざるを得ない。しかし時折突きつけられる絶望。甘い理想と苦い現実のギャップがドラマを生み出すのです。
「苦い現実」について説明する前に、京太郎のメンタルについて触れる必要があります。
彼は、嫌ならば嫌と言える芯の強さを持つ一方で、非常に繊細でもあるのです。
尊大な羞恥心と臆病な自尊心。手が届かないものはどうせ傷つくのだからと諦めてしまう。諦める理由を探してしまう。「好意を持つことも烏滸がましいのではないか」「自分がこんなことを言ったら・したら気持ち悪いのではないか」自信のなさからか京太郎はネガティブな葛藤を繰り返してしまいます。
他のことに対してもそうですが、こと恋愛に関しては輪をかけて臆病になってしまいます。ですが、仕方ないのかもしれません。なぜなら「身分違いの恋」なのですから。
女優として羽ばたこうとしている杏奈と何者でもない京太郎。格差恋愛の舞台はスクールカーストを飛び越えて実社会へ。2人の関係を残酷なコントラストが彩ります。
それでも、京太郎が勇気を出して一歩を踏み出すところが尊い…。
京太郎のメンタルは繊細ですが、人は誰しも弱い心を抱えて生きているものです。だからこそ読者は共感し、応援したくなるのでしょう。「チャラチャラした人間が意外とイイやつだと判ると凹んでしまう」という描写があるのですが、正直共感してしまいました(笑)。
ちなみに当の杏奈は格差があるなんて発想すらないようで、京太郎とどんどん距離を詰めようとします。遠回しにデートに誘ったり、名前で呼びたかったり、でも好きなのを知られたくなかったり…等身大の中学生という感じ。甘ーい!
さて、2人の関係にしても、京太郎のモノローグにしても、読めばきっと感じるものがあるでしょう。「僕の心のヤバイやつ」を一言でいうなら、「エモい」。にやにやしすぎて表情筋が鍛えられ小顔に近づくことができます。おすすめです!
余談ですが、「僕ヤバ」は2巻から本領を発揮し、3巻から覚醒。そこから尻上がりに面白くなっていくのですが、1巻は…なんか違うんですよね。まずジャンルが下ネタギャグで、以降のにやにやできるラブコメとは異なっていますし、京太郎がまさにヤバイやつでいくら中二病を患っているとはいえ、のっけからサイコパスぶって読者をふるいにかけてしまっています。1巻以降は大幅にヤバさが緩和されましたが、それだけに悪目立ちしている気がしますね。
あと、タイトルで損をしている気がする。
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